モデル3スタンダードレンジプラスの完全プレミアムサウンド – チューニング編

  • 2021.02.24
  • DIY
モデル3スタンダードレンジプラスの完全プレミアムサウンド – チューニング編

この記事は以前作成したモデル3スタンダードレンジプラスの完全プレミアムサウンド化のチューニング編となります。モデル3のオーディオシステムについても少し解説しつつ、最高の音質を追い求めるために私自身が試行錯誤した結果を公開したいと思います。プレミアムサウンドアップグレードをしていなくても知識として是非ご覧になってください。私はプロではないので参考程度にしていただけると幸いです。

モデル3のオーディオやプレミアムサウンド化の取り付けに関しては以前の記事からご覧ください。

モデル3スタンダードレンジプラスの完全プレミアムサウンド化

チューニングが必要な理由

以前取り付けたアンプをデフォルトのままで使用することももちろん可能ですが、チューニングを施すことによりさらにスピーカーの性能を引き出すことが可能です。チューニング前と後で驚くほど感じ方が変わるので、是非追い込んでいきましょう。

チューニングで必要な要素として周波数を揃えるという作業があります。Sonic ToolsというiPhoneのアプリを使ってアンプをデフォルトのままで周波数測定するとこのような感じになります。

左は低音で右に行くにつれて高音になります。左から右に落ちていることが見て取れます。これは高音が聞こえづらくなっているという状態です。この右肩下がりの周波数をなるべく水平にするとどの周波数帯も聞こえやすくなり、バランスよく耳に届くようになります。

システム構成

いきなりチューニングに入る前にスタンダードレンジプラスのネットワーク構成について私自身が理解している範囲で紹介します。(間違っている部分もあるかもしれません。) 灰色の配線の部分は標準の配線となり、緑は追加した配線です。

CPU:メインコンピューターからの出力はSR+の場合200W(推定)
アンプ:出力は各チャネル110Wで合計400W(推定)

オーディオアップグレードをすると以下のようなチャネル分けがされます。2020年3月以降のモデルの場合、リアミッドレンジはありません。

1CH : 左フロントミッドレンジ+左ドアツイータ
2CH : 右フロントミッドレンジ+右ドアツイータ
3CH : 左リアドアミッドレンジ+左リアミッドレンジ
4CH : 右リアドアミッドレンジ+右リアミッドレンジ
5CH : 左リア HIFI
6CH : 右リアHIFI
7CH : 割り当てなし
8CH : 割り当てなし

アンプはこのチャンネル毎にチューニングをすることが可能です。

チューニング

実際にチューニングに入っていきましょう。PCを接続しチューニング画面を出します。こちらは以前のブログで紹介しているのでそちらをご覧ください。

上のチャネルに割り当てられたスピーカーが画面下段にあるOUTPUTのCH(チャネル)に割り当てられています。OUTPUTのチェックボックスをクリックすると個別の設定を始めることができます。チェックボックスをクリックするとどのINPUTチャンネルに接続されているか、確認できます。以下の画像の場合OUTPUT CH1はINPUT CH1に接続されているということになります。

1つのINPUTチャンルに複数のOUTPUTチャンルを割り当てることができますが、音圧が下がっていきます。私の場合は

INPUT:OUTPUT
1CH : 1CH
2CH : 2CH
3CH : 3CH
4CH : 4CH
5CH : 3CH
6CH : 4CH
7CH : 割り当てなし
8CH : 割り当てなし

といった具合で割り当てています。フロントの左右ミッドレンジはしっかり鳴らしたいので1チャンネルずつ、リアはどちらかというとサブとして鳴らすので1チャンネルに対して複数のOUTPUTチャンネルを割り当てています。

出力調整

運転席助手席にあるウーファーとフロントセンターのミッドレンジの音はモデル3のアンプから出力されているので、まずはチューニング画面の右下にMASTER Volのつまみを上下して音の大きさが合うように揃えていきます。MASTER Volを絞って少しずつ上げていき、ウーファーとセンターミッドレンジと足並みがそろう音量まで上げていきます。SonicToolsを使ってある程度揃えてから微調整してあげてもOKです。個々のチャネルのOUTPUTからの出力調整できます。

ハイパスフィルター&ローパスフィルター

高音が得意とするツイータに低音の周波数でならしても音がでないようにスピーカーによって得意とする周波数が異なります。アンプ内でこの周波数を割り振っていきます。その設定が画面左上の部分となります。対象チャンネルを選択すると個別に周波数を設定することができるようになります。HPF(ハイパスフィルター)とLPF(ローパスフィルタ)に周波数の範囲を設定していきます。

チェックボックス:チェックを入れると設定が有効化されます。
Type:変更しなくても良いです。
Slope:12dB/Octもしくは24dB/Octあたりで良いです。
FRQ:周波数の範囲を設定します。

周波数の範囲値をFRQに設定していきます。場所によって異なります。個別のスピーカーから音を出してみて別途検証してみた結果、以下の周波数の範囲であればしっかり音出ることが分かりましたので参考にお使いください。

フロントミッドレンジ:200-4000Hz
フロントサイドツイーター:10000Hz~18000Hz
リアドアミッドレンジ:250-15000Hz
リアダッシュミッドレンジ:200-16000Hz
ウーファー:50-200Hz

例えば1CHはシステム構成を見るとフロントミッドレンジとドアのツイータが2つあるので200~18000Hzと設定します。4000~10000Hzの間は何もない部分になります、得意とする周波数以外の周波数を与えるとノイズの原因となり、きれいに耳に届きづらくなります。こちらの解決策は後のブログで紹介します。

タイムアライメント

HPF,LPFの設定が終わったらタイムアライメントを設定していきます。この設定は最初にやっておかないとあとでイコライザが合わせても遠く聞こえたり、しっくりこないことがあるので、最初にしっかり設定します。車のスピーカーは複数あり、それぞれ運転席からの距離が異なります。このタイムアライメント設定は、各スピーカーから発する音を明示的に発生を遅らせることによって耳に届くタイミングを合わせるという設定となります。このタイムアライメントが合わないとボーカルの声が歪んだり、ほわ〜んと聞こえたりするので重要な設定であり、結構好みが別れますので、細かい説明はなるべく避け、ポイントだけお伝えします。

タイムアライメントはOUTPUTの下段にあるDelayの数値を変更することで適用できます。運転席に座って0~10の間の数値で設定し、数字が大きいとディレイが多くなりスピーカーとの距離が近いときは高くします。数字が小さい場合はその逆です。このディレイに関してはプロ用の測定ツールで測れるようなのですが、残念ながら機材も知識もないため、耳を信じて設定します。ある値になると急に耳に届きやすく感じるので、そのあたりから好みの位置まで微調整していきます。

実際に調整に使う音源ですが、ボーカルが主体の音楽の方が調整しやすいです。やり方が正しいか分かりませんが、私はBruisesという曲を使って調整しました。左右にボーカルがいるので、左右のスピーカー調整が一度にできてやりやすいです。車のYoutubeで流しても良いですが、できればSpotifyかUSB音源で調整しましょう。

1CH : 左フロントミッドレンジ+左ドアツイータ
→センタースピーカーより少し左で鳴るように微調整していきます。1~4
2CH : 右フロントミッドレンジ+右ドアツイータ
→センタースピーカーより少し右で鳴るように微調整していきます。4~6
3CH : 左リアドアミッドレンジ+左リアミッドレンジ
→左リアドアミッドレンジの音で合わせます。右リアドアスピーカーより少し遠いので5~7
4CH : 右リアドアミッドレンジ+右リアミッドレンジ
→一番近い右リアドアスピーカーの音で合わせます。一番近いので10に近い数値を設定
5CH : 左リア HIFI
→一番遠いので0に設定
6CH : 右リアHIFI
→一番遠いので0か若干あげても良い設定

最初はなかなか慣れませんが、必ずピタッとくる位置がありますので根気強く探しましょう。調整するスピーカ以外はミュートして行いましょう。

イコライザー

イコライザーの調整を行っていきます。イコライザーは画面中央上よりにある部分で調整していきます。画像の下段にBandと数字が書いてあり、その下にFRQとかかれているところが周波数となります。このFRQのつまみを上下しながら調整していきます。

どう調整するかというとピンクノイズというものを使用していきます。私はYoutubeの音源を使用しました。

この音を流して先ほどのSonic Toolsで測定を使って周波数を測定します。まずは調整するスピーカー以外すべてのOUTPUTのスピーカーマークを押してミュートします。ミュートしてもシステム音はフロント中央のミッドレンジとツイータから出ますが、その音より若干大きくするとやりやすいです。測定アプリで測りながらイコライザーを上下調整して下の図のようになるべく均一化目指します。多少ジグザグしていても問題ありません。

均一化が終わったら中央のシステム音との音量と足並みを揃えるため、ミュート→ミュート解除を繰り返して測定アプリを見つつ同じくらいのDBになるように調整をかけていきます。

この作業を各チャネルに対して行っていきます。

最終調整

すべてのOUTPUTチャネルのミュートを解除していろんな音楽を流してみます。あら不思議!驚く程スピーカーの聞こえ方が変わることに驚かれると思います。

あとは測定アプリを使わずに、各OUTPUTの音量を違和感がないように調整していきます。うまくバランスが取れるととてもきれいなサラウンド感を出すことが可能ですし、フロントを強く鳴らしたい場合はフロントの方が大きく鳴るように調整していきます。調整気持ち良い演出を作り上げることが重要です。

高音や低音が足りない場合は、好みに合わせてイコライザーを微調整します。私は低音が好きなので2~3dB多めに設定しています。フロントのセンターミッドレンジと足元のウーファーはテスラのコンソールからイコライザー調整が可能です。

こんな感じで理想の音に追い込んでいきますが、1点だけ注意点あります。それは耳が慣れてしまうことによって足りないと思う音を脳が補完してしまうという現象があるので、最終調整は10~15分くらいで切り上げて耳を休ませるようにしましょう。(私は続けてやったことによって何度も失敗しました。。。)

まとめ

いかがでしょうか。ここまでHPF/LPF、ディレイ、イコライザーとチューニングについて紹介しました。音響に詳しい方はお気づきかもしれませんが、この設定は運転席の人にとって最高の設定となりますので、同乗者すべての人が同じ体験ができるものではありません。すべての人が同じ体験を実現する場合は少し妥協しなければならない部分もあるかと思います。Ratonの設定を公開したいところですが、刻一刻と設定を追い込んで調整しているのと、座高やシートポジションによって合わないことがあるので一旦アップすることは控えました。(もちろん個別で連絡頂ければ差し上げます。

現状でもかなり良い音が出ていますが、気になる点や改善の余地があるので、これから少しずつテコ入れしていきます。次回ブログで紹介していきたいと思います!

私は音響の素人で、一人ではこのようなコンテンツを作るのは不可能でした。今回は数々の情報提供やアドバイスを頂いた@nakagawa_evさん、本当にありがとうございました!

nakagawaさんの紹介コード

では、また次回のブログでお会いしましょう。

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